Hong Kong Express

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遂に憧れの地、香港へ行ってきた。

滞在三日目、中心街の喧騒を離れて獅子山の頂から都市部の街並みを眺めつつ、なんとなくThe Jamの"In The City"という曲を思い出していた。Umbrella Movementという学生を中心としたデモがこの地で起こったのは記憶に新しく、ここ獅子山の岩壁にも「我要真普選=真っ当な普通選挙を希望する」のスローガンが掲げられていた。

1970年代、かつての宗主国であったイギリスでマグマの如く吹き出した若者の憤怒や焦燥がパンクロックという表現技法を用いて掻き鳴らされ、そこで歌われていたことがそのまま数十年後の香港の状況と合致してしまったというのは、歴史は繰り返されるというべきか、停滞する人治とそれに抗う若者のエネルギーはどの時代でも普遍というべきか、運命的とまではいかないにしても色々と考えてしまう。

香港を中心として、マカオ、そして深センという事実上3カ国を跨いだこの旅は、政治経済に対する認識から偶然の人々との出会いまで網羅した非常に濃いものだった。トイレが全然ないMTR、茶餐廳の出前一丁、土日に響く北京語…良し悪しは別として、一介の異国からやってきた旅行者として思うのは、この混沌こそがアジアの醍醐味であるということだ。自分の中で膨張していた「香港像」が実際に渡航して崩れ落ちるという懸念もなかったわけではないけれど、やはり来て正解だったのだ。


The Jam - In The City - YouTube

街中に燦然と輝く幾千もの顔がある
黄金色を纏ったその顔は25歳以下の奴ばかり
奴らは言いたい 奴らは伝えたい
若い人間の考えてることについて
ゴチャゴチャ言う前に聞いてくれよ

あんたらが考えてることはわかるよ
俺のことをロクデナシだと思ってんだろ
だけどしっかり耳を傾けるべきだ
若い奴らは楽しいことがどこで起こってるのか知ってるのさ

街中に制服に身を包んだ幾千もの人間がいる
そいつらには人を殺す権利があるって話だ
俺達は言いたい 俺達は伝えたい
若い人間の考えていることについて
上手くいかなくても とにかくやり続けてやるんだ
- The Jam / In The City