chuk de! Southern India

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Tiruchirappalli

2018年は一度もポストすることなく新年を迎えてしまった。これじゃいかんということで昨年の旅の話でも。

喪中なので新年のご挨拶は割愛。世代交代は生きとし生ける物の常なのでどうしようもないが、 身内の不幸は心身に響く。 人生におけるターニングポイントを迎えたとき、必ず一人旅をすることにしている。それは逃避であると同時に前進でもある…と自身に言い訳しながらまた異国に足を踏み入れるのだ。

今回の目的地は南インド。ちょうどインド亜大陸の顎を左から右になぞるように、西のムンバイから入って海岸沿いに進み東のチェンナイを目指す。前回は毀誉褒貶の激しい北インドだけだったが、南インド北インドと比べてかなり評判がいい。一番言われるのはやはり「北インドと違って人が良い」ということだろうか。実際に行ってみると噂通り過ごしやすく、都市のムンバイやチェンナイですら北インドの喧騒と比べれば落ち着いていた気がする。自分が旅慣れてきたせいもあるのかもしれないが、少なくとも過剰なエネルギーが充満したデリーやバラナシのようにギラギラしてはいなかった。逆に北インドがフィットした人は南は物足りなく感じるのでは…と思う。

なにより公営バスでスムーズに旅ができるのがいい。朝バスターミナルに行き、日中数時間揺られて目的地を目指すことの繰り返しで旅は続いた。公営なので乗り心地は良いとは言えないがほぼインド人しか乗ってなくてそれが心地いいし、町中の道路を走るので窓ごしに人々の暮らしが如実にわかる。北インド南インドは文化的に差異があると書いたが、もちろん州境で突然変わるわけではない。文化とはグラデーションであり、土地を移るに連れて白からグレー、グレーから黒へと文化の色合いは徐々に変わっていく。日中のバス移動だとリアルタイムで感じ取ることができる。昨日いた場所と建築様式が違うな、道路も整備されてるな、共産党のポスターが増えてきたな、潮風の香りがするな…全ては移動するに連れて緩やかにしかし確実に変化していく。それを陸路の旅が教えてくれた気がした。