The land of smiles turns into the land of tears.

タイ国王、ラーマ9世が亡くなった。

何度も何度も渡タイしているので、国王が如何に国民から愛されているかはよくわかる。多くのタイ人の友達が「崩御の一報を聞いて涙が止まらなかった」と言っていた。そんな友達の中にはチンピラみたいな奴らもいるが、彼らでもFacebookのアイコンやヘッダーを真っ黒にするのだから敬慕の念は本物だ。しかしいくら彼らの悲しみに寄り添おうとも所詮自分は他所の国の人間であり、あくまで客観的に理解するばかりだったのだけれど、ニュースフィードに流れてきた下の写真を見て言葉が詰まってしまった。おこがましいながらも、自分も「寂しい」と思ったのだ。

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タイに行かれた人はわかるだろうし、行ったことがなければ「???」となるだろう。タイでは街のあちらこちらに王様や王族の写真が飾ってある。それが崩御に伴い撤去されたのだ。一介の旅行者の自分が、なんの気なしに通り過ぎた、当然そこにあった普遍的風景が今はもうないのだ。これは自分にとってもショッキングだった。

彼は70年以上も王位に君臨し続けたわけだから、現在のタイ人のほとんどはラーマ9世が王様だった時代しか知らない。不世出の威徳故に愛された国王が亡くなってしまった今、タイの未来に少なからず陰りが見えてきた。あの時は幸福だった…と過去を振り返るだけの時代が来ないことを切に願う。