Colombian Ghetto Anthem

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Netflixで『ナルコス』シーズン1を観た。

そもそもマーベルコミックスの『デアデビル』と『ジェシカ・ジョーンズ』が一番の目的でNetflixに入会したのだけど(こちらの感想もまたいつか)、両者とも全シーズン観終わっちゃったのでテレビCMでも流れてた『ナルコス』をチョイスしてみたのです。コロンビアの麻薬王の話なんて、そりゃあもう惹かれないわけないのだもの。

第一話冒頭からマジック・リアリズムに言及するあたり、さすがガルシア・マルケスを産んだ御国といったところ。でもそれは単に触りの前口上ってわけではなくて、ストーリーが進むに連れて主人公パブロ・エスコバルの一挙手一投足がまさに現実離れているということを否が応でも理解せざるを得なくなる。ヘタすりゃ事実を元にした本作よりコミックス原作の『デアデビル』のほうが実世界の出来事に近いんじゃないかってくらい。

麻薬王の権謀術数とそれに翻弄されるDEA(麻薬取締局)、CIA、軍隊、果てはコロンビア大統領までもを巻き込んでストーリーは進む。映画だとどれだけ長くても数時間で結末を迎えるけれど、ドラマとなると敵味方関係なくそれぞれの言い分をしっかりと掘り下げる時間があるので善悪の比重がかなりあやふやになる。もちろん社会正義に照らし合わせればパブロ・エスコバルは「悪」ではあるけれど、彼の悪魔の如き人間力は一筋の光にも見えるだろう。市井の人間には何回転生しても得られないような権力への意志を持った人間は何時の世も魅力的だ。今は只々シーズン2が待ち遠しい。