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The land of smiles turns into the land of tears.

タイ国王、ラーマ9世が亡くなった。

何度も何度も渡タイしているので、国王が如何に国民から愛されているかはよくわかる。多くのタイ人の友達が「崩御の一報を聞いて涙が止まらなかった」と言っていた。そんな友達の中にはチンピラみたいな奴らもいるが、彼らでもFacebookのアイコンやヘッダーを真っ黒にするのだから敬慕の念は本物だ。しかしいくら彼らの悲しみに寄り添おうとも所詮自分は他所の国の人間であり、あくまで客観的に理解するばかりだったのだけれど、ニュースフィードに流れてきた下の写真を見て言葉が詰まってしまった。おこがましいながらも、自分も「寂しい」と思ったのだ。

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タイに行かれた人はわかるだろうし、行ったことがなければ「???」となるだろう。タイでは街のあちらこちらに王様や王族の写真が飾ってある。それが崩御に伴い撤去されたのだ。一介の旅行者の自分が、なんの気なしに通り過ぎた、当然そこにあった普遍的風景が今はもうないのだ。これは自分にとってもショッキングだった。

彼は70年以上も王位に君臨し続けたわけだから、現在のタイ人のほとんどはラーマ9世が王様だった時代しか知らない。不世出の威徳故に愛された国王が亡くなってしまった今、タイの未来に少なからず陰りが見えてきた。あの時は幸福だった…と過去を振り返るだけの時代が来ないことを切に願う。

Colombian Ghetto Anthem

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Netflixで『ナルコス』シーズン1を観た。

そもそもマーベルコミックスの『デアデビル』と『ジェシカ・ジョーンズ』が一番の目的でNetflixに入会したのだけど(こちらの感想もまたいつか)、両者とも全シーズン観終わっちゃったのでテレビCMでも流れてた『ナルコス』をチョイスしてみたのです。コロンビアの麻薬王の話なんて、そりゃあもう惹かれないわけないのだもの。

第一話冒頭からマジック・リアリズムに言及するあたり、さすがガルシア・マルケスを産んだ御国といったところ。でもそれは単に触りの前口上ってわけではなくて、ストーリーが進むに連れて主人公パブロ・エスコバルの一挙手一投足がまさに現実離れているということを否が応でも理解せざるを得なくなる。ヘタすりゃ事実を元にした本作よりコミックス原作の『デアデビル』のほうが実世界の出来事に近いんじゃないかってくらい。

麻薬王の権謀術数とそれに翻弄されるDEA(麻薬取締局)、CIA、軍隊、果てはコロンビア大統領までもを巻き込んでストーリーは進む。映画だとどれだけ長くても数時間で結末を迎えるけれど、ドラマとなると敵味方関係なくそれぞれの言い分をしっかりと掘り下げる時間があるので善悪の比重がかなりあやふやになる。もちろん社会正義に照らし合わせればパブロ・エスコバルは「悪」ではあるけれど、彼の悪魔の如き人間力は一筋の光にも見えるだろう。市井の人間には何回転生しても得られないような権力への意志を持った人間は何時の世も魅力的だ。今は只々シーズン2が待ち遠しい。

tropical steelo.

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台湾数日滞在のあとは、この季節ならではの避寒で更に南の東南アジアへ。

「旅のテーマ」なんていう大それたものではないけれど、一応旅人としての心持ちというか漠然とした目的だけは毎回なんとなく決めていく。というわけで今回は「見て回る」ことに重点を置いて、割とガッツリ動きまわり世界遺産なんかに訪れる一方で凡百の旅行者が行かないようなところにも足を運んだ。なにもせずダラけるアジアもいいが、灼熱の太陽のもとに行軍するアジアもまた良し。遺跡群を見て回るだなんて、ちょっと前のへそ曲がりの自分なら絶対やらなかっただろう。

心変わりは体調の変化のせい。去年一年は特に調子が悪かったのだけれど、年末から年始にかけての検査・診察・薬の変更なんかで随分と改善した。人間元気なうちが華、この限りある健康を大切にしてやれるべきことは今やっておこうと決心するに至ったのだ。一年間の不調を乗り越えての行脚。心持ち一つで見える景色もまた違うのでした。

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formosa boulevard

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2月初旬、3度目となる訪台で初の台中へ。台北から中距離バスで揺られること数時間。台中といえばヤクザとバブルティーなので、とりあえずヤクザは置いといて春水堂でバブルティー飲んできました。この直後閉店間際の宮原眼科(※名前は眼科だが実は老舗のスイーツショップ)で土産のパイナップルケーキを購入し、特に観光もせず次の国へと向かったのだった…。その次の国に関してはまた今度。

2016 on fire

あけましておめでとうございます。

お年玉を貰ったわけでもないのに(むしろあげるハメに)なぜか衝動的に音源をバカ買いしてしまった。2月の旅に向けてのサントラ準備…と最もらしい理由でも付けておく。

Howling For Judy

Howling For Judy

ブロート・バック・ライヴ・フロム・P.J.ズ

ブロート・バック・ライヴ・フロム・P.J.ズ

Wang

Wang

 

王舟は学生の頃JETSETで"Thailand"のCD-Rを購入して未だに聴き続け、自分の中ではずっと「インディー界隈のええ音鳴らす人」というイメージのまま停滞していたのだが、知らぬ間にガッツリとアルバムを作っていた。今月20日には2ndも出るそうで。

Shellac Japan Tour 2015

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今更ながら11月末にShellacの来日を観に馳せ参じたことを書き記すなど。既に日付を越えて今は12月31日。もうひと月経ったのか…今でも鮮明にあの空気と風景が脳裏に焼き付いている。

説明不要のUSインディー界の裏ボス、スティーブ・アルビニ先生率いるバンドといえど平日のギグだったのでどんな感じの入りだろうと思いきや、まさかのソールドアウトで箱は満杯。現場においてはプレイ云々というよりもむしろバンドのアティテュードに感銘を受けた夜であり、ちょうどその時に『赤めだか』を読んでいたのでスティーブ・アルビニ立川談志とダブって見えた。両者は人種もジャンルも違えどDIY精神の権化であり、パブリックイメージとしては気難しくてとっつきにくい印象があるけれど、物事をちゃんと論理立てて思考するし、後続の人間にもその基準をちゃんと示す(そのクオリティの基準はとてつもなく厳格ではあるが)。そういうところでもこの両者は似通っていると思う。

特にこういったポストロックはアブストラクトな印象が強いけれども彼らは決して感覚的に演っているわけではないし、無責任に「ロックは感じるものだ」とか言い訳したりもしない。綿密に計算し尽くされたロジックという基盤があってこその内容だし、そしてなによりもギグがとても楽しい。魅せ方を凄くわかってるというか、エンタメとしてのクオリティも高い。

一番驚いたのがこちらからの質疑にも丁寧に応答してくれたこと。一端の音楽好きなので今までも色々なライブを見てきたけど、「それじゃあなんか質問ある人!」とかライブ中に言い出すバンドは初めてで、どちらかと言えばワークショップのようだった。終盤には「最後に2曲やって終わる。このあとステージ前でTシャツを手売りするよ。なにか質問があったらそのときに聞いてくれてもいいし、サインや写真が欲しかったら言ってくれ。別に何も買わなくてもいいからさ」と遠慮がちな日本人を気遣ってかわざわざ先立って言ってくれるあたり、仮初めではない本物のOMOTENASHI精神の持ち主だった。そして本当にアルビニ先生自らシャツを手売りするのであった。

プロデューサーとして八面六臂の活躍をするアルビニ先生ではあるけれど、裏方としてのゴトシだけではなくあくまでも現場主義を貫く一介の音楽家としての姿勢というか、覚悟みたいなものを見せつけられた夜だった。